"Ermenegildo Zegna" Drapey finish 100% cashmere cloth chester coat

左胸ポケット上部ヨレ有り

1910年創業のイタリア発ラグジュアリーブランドで、自社紡績による高級ウール／カシミヤなど素材開発と精緻なテーラリングを強みに、スーツを中心にレディトゥウェアやレザー小物までを展開するErmenegildo Zegnaより、ブランドを体現する逸品をご紹介致します。

深く沈むブラックの面が光を静かに吸い込み、手の甲でそっとなでるだけで起毛が品よく整うカシミヤ100%を用いたこちらの逸品。

生地タグが示す通りゼニアのカシミヤクロスは、ふくらみとしなやかさの両方に優れ、肩から裾へすっと落ちる美しいドレープを描き、羽織った瞬間に体温をやさしく抱え込む保温性ゆえ、見た目は軽やかでありながら冬の主役として頼れる存在だと言えますね。

襟はノッチラペルで顔周りをすっきり整え、第一ボタンのみを見せてその下を隠す前合わせにすることでフロントの面がフラットになり、素材の艶と落ち感がいっそう際立ちます。胸には控えめなウェルトポケットを添え、腰にはフラップポケットを配して実用性を確保しつつ、直線的なラインに奥行きを与えています。

袖はラグランスリーブで肩線がなだらかに続くため、ニットやテーラードジャケットの上から重ねても段差が出にくく、袖口に並ぶボタンが手首の所作をきれいに見せますね。

内側はストライプ織りの総裏で袖通しが滑らかだから、移動の多い一日でもストレスが少なく、背面は切替えを最小限に抑えた構成ゆえ、歩くたびに裾が静かに揺れ、ロングレングスの縦の印象が端正に保たれます。

過度な装飾に頼らず“比翼×ラグラン×カシミヤ”という構造と素材の調和で完成度を高めている点に、この個体ならではの付加価値があり、クラシックとモードの均衡を静かに表現できる一着と言えますね。

スタイリングとしては、ハイゲージのニットやミニマルなシャツにストレートトラウザーを合わせて面を整えると、比翼のフラットさが際立ちますし、テーラードジャケットの上から前を留めれば、ラグランの肩が美しく馴染みます。落ち感のあるスカートやドレスの上からさらりと羽織ると素材のコントラストが映える着こなしになりますね。

是非この機会に。