-MOOD Christmas Collection- "HERMES" 90's-00's Gold buckle design heeled loafers

パリのマドレーヌ寺院界隈で馬具工房から始まり、「職人技の伝承」「移動・旅行のよろこび」を

コンセプトとしたHERMESより、クリスマスシーズンに相応しいスペシャルな逸品をご紹介致します。

しなやかなブラックカーフレザーと、円を描くゴールドバックルが静かに光をたたえるこちらの逸品。

ほどよく角を残したスクエア寄りのトゥと、甲をすっきり覆うヴァンプラインが、クラシックなローファーの端正さを保ちながらも、どこかモードな空気を纏わせており、そこにすっと伸びるミドルヒールが加わることで、足元に“きちんと感”と上品な高揚感を同時に宿す設計と言えますね。抑えた艶感を湛えたカーフレザーは、昼間の自然光の下では静かな光沢を、イルミネーションやレストランの灯りの下ではささやかな艶を返し、ホリデーシーズンの装いにふさわしい品の良い存在感を放ちます。

フロントにあしらわれたゴールド金具は、丸く象られたリングにバーを通したデザインで、エルメスのエクイストリアン由来のムードやシェーヌダンクルのニュアンスを感じさせながら、アイコンをグラフィカルに抽象化した、1990年代後半〜2000年代初頭らしい洗練された意匠と言えます。厚みのあるメタルパーツでありながらサイズ感が絶妙な為、ギラつきはなく、ブラックレザーとのコントラストが足元のジュエリーのように映え、冬の街へ出かけるひとときやクリスマスディナーのテーブルにさりげない華やぎを添えてくれますね。

インソールには「DESSUS VEAU（甲革：牛革）」「DOUBLURE CHEVRE（裏革：山羊革）」というフランス語表記が型押しされており、ライニングにまでシェーブルレザーを用いる贅沢な作りから、当時のエルメスが掲げていたクラフツマンシップの高さがうかがえます。山羊革ならではの柔らかさと強さによって足当たりが非常にしなやかで、履き込むほどに足型に沿って馴染んでいく為、長時間の着用でも疲れにくく、年末年始のイベントシーズンにも心地良く寄り添ってくれる仕上がりと言えます。程よい高さの太めヒールは接地面積が広く、安定感とスタイルアップ効果を両立させてくれるので、移動の多い一日や、昼から夜にかけて予定が続く日にも頼もしい構造ですね。

付属するベージュトーンの起毛感のある保存袋や、インソールの刻印仕様などのファクトから、この一足は1990年代後半〜2000年代初頭、ちょうどマルタン・マルジェラがメゾンのデザインを手掛けていた時期と重なる年代のプロダクトであると考えられます。見た目は極めてミニマルでありながら、スクエア寄りのトゥや抽象化された金具のデザインにわずかな“ひねり”が潜み、過度なロゴや装飾ではなく、フォルムと素材とプロポーションで現代性を語る、この時代のエルメスらしい空気を色濃く宿していると言えますね。90年代的なエッセンスを含みながらも、いまのムードとも自然に重なるタイムレスさを備えている点も、ヴィンテージとして大きな価値があります。

MOODの視点では、ラグジュアリーを声高に主張するのではなく、冬の装いの足元から静かに品格を滲ませたい方にこそおすすめしたい一足です。ブラックレザーとゴールド金具のコンビネーションは、ビジネスシーンにもホリデーシーズンの華やかな場にもスムーズに橋渡ししてくれる為、仕事終わりにそのままクリスマスディナーや年末の集まりへ向かうような一日にもよく似合いますし、一年を頑張った自分へのご褒美として、あるいは長く愛用してほしい特別なギフトとしても選びやすいバランスと言えますね。

スタイリングとしては、シンプルなニットとセンタープレスの効いたスラックスに合わせて、コートをさらりと羽織り、このローファを足元に添えるだけで、日常の延長線上にある装いが、そのままクリスマス前後のディナーシーンにも通用するクリーンで知的な印象に整うと言えます。また、ミディ丈のスカートやワンピースに合わせて、タイツやソックスでニュアンスを添えるスタイルもおすすめで、装い全体は落ち着いたトーンにまとめながら、足元のゴールド金具がささやかな高揚感を運んでくれる為、ホリデーシーズンのシーンにふさわしい“控えめな華やぎ”を表現しやすい組み合わせになってくれますね。

革質と作り込みに妥協のなかった時代のHERMÈSが、冬の空気とともに纏える一足として現代に残した、タイムレスで知的なヒールローファを、クリスマスシーズンの装いとギフト選びのどちらにもふさわしい形でお楽しみいただける逸品となっております。

是非この機会に。