"YVES SAINT LAURENT" 11'year-12'year Chic Gabas leather bag

1962年のブランド創設以来からモードの帝王として親しまれ、今なお多くの人を魅了し続けている

YVES SAINT LAURENTより、スペシャルな逸品をご紹介致します。

ブランドの頭文字を象徴する「Y」バックルが正面に静かに佇む、シック・カバスバッグであるこちらの逸品。

ステファノ・ピラーティがクリエイティブ・ディレクターを務めていた2011年頃に登場したシック・カバスは、ブランド名が「Yves Saint Laurent」から「SAINT LAURENT」へと切り替わる直前のわずかな期間に作られたアイコンバッグで、クラシックなイヴ・サンローランの香りと、現代的なミニマリズムが同居した非常に意味のあるモデルと言えますね。

旧ロゴ期ならではの「Yves Saint Laurent」表記を持ちながら、フロントには大胆に一文字の「Y」を配することで、新しい時代へ向かうブランドの姿勢を象徴するようなデザインに仕上がっています。

ボディには、深みのあるブラウンのスムースレザーが贅沢に用いられており、表面には自然なシワとほのかな光沢が宿り、使い込むほどに立体感を増していく表情が魅力的と言えます。トップハンドルはやや高さを持たせた丸みのあるラインで、手に取ったときにも肩に掛けたときにも収まりがよく、ゴールドの金具と繋がる付け根部分には、負荷がかかるポイントを丁寧に補強するステッチワークが施されています。

正面のYバックルは、プレート状のゴールドパーツに適度な厚みを持たせることで、シャープになりすぎず、どこか建築的な存在感を放つ仕立てになっており、レザーのストラップを通して開閉する構造は視覚的なアクセントでありながら、フラップの開き具合を自然に抑えてくれる実用的な役割も果たしています。

サイドにはマチを広げるファスナーが配されていて、荷物量に応じてシルエットをすっと変えられる構造になっている為、普段使いから小旅行まで柔軟に対応できる点も、このモデルならではの付加価値と言えますね。

内装は、落ち着いたトーンのライニングでまとめられた一室構造で、底面までしっかりと幅を取った広いスペースが用意されているため、PCや書類、衣類などかさばる荷物もまとめて収めることができますし、側面には小物を整理しやすいポケットが備わっているので、鍵やカードケースなどをきちんと分けて収納できる設計になっています。外から見える装飾は最小限に抑えながら、内側で生活に必要な機能をさりげなく支えてくれる構造が、このバッグの「インテリジェンス」を物語る部分だと言えます。

ブランドの歴史という観点でも、このシック・カバスは特別な存在です。ステファノ・ピラーティ期のイヴ・サンローランは、官能的でありながら知的なムードを湛えたコレクションが多く、このバッグもまさにその空気を凝縮したような一品で、クラシカルなトートの骨格に、モダンなYシグネチャーを重ねることで、「ラグジュアリーでありながら日常に根ざすバッグ」というコンセプトを高い次元で体現しています。

現在はブランド名やロゴの構成が変わり、このYバックルのデザインはすでに廃番となっているため、旧ロゴ期の世界観と、アイコンバッグとしての存在感を一度に楽しめる貴重なヴィンテージピースと言えますね。

スタイリングとしては、ロングコートやシンプルなニットとスラックスを合わせた端正な装いにさらりと添えると、ビジネスシーンにも馴染みつつ、さりげない迫力をプラスしてくれますし、クリーンなシャツにテーラードジャケット、程よく抜け感のあるボトムスを合わせたジェンダーレスなスタイルに合わせれば、レザーの柔らかな艶とY金具の輝きが、全体を大人のモードへ引き上げて頂けますね。

是非この機会に。