"Y's" Metal fitting belt design cutting maxi skirt

1972年に山本耀司が手掛けた最初のブランドであり、男性の服を女性が着るというコンセプトを掲げるY'sより、しなやかな美しさを誇る逸品をご紹介致します。

ウエストラインに小さな金具付きベルトを配し、構築的なシルエットの中に静かな緊張感を漂わせているこちらの逸品。

Y’sらしい抑制されたミニマリズムの中に、丁寧に施されたディテールが呼吸するように佇んでおり、あくまで装飾を排した静かな佇まいながらも、しっかりとした造形性を宿しています。

素材にはハリのある中肉厚のファブリックが用いられており、その質感は光を吸い込みながらも柔らかく立体感を保ち、しなやかな落ち感を描いています。控えめに配されたベルトループと、金具を使った細身のベルトディテールがウエストの構造を引き締めており、前後左右どの角度から見てもラインが崩れず、静謐な緊張感をもってスタイリングに奥行きを与えてくれます。

また、バックポケットは省略されており、サイドには極めて細く切り込まれたポケットが一対のみ隠れるように配置されているため、視覚的な情報が極力削ぎ落とされ、より一層シルエットの美しさに意識が集中する構成となっています。ヒップラインは丸みを持たせすぎず、ややタイトに設定されていることで、縦に落ちるラインが清らかに伸び、スカートでありながらも芯のあるストイックな印象を放っています。

そして、ウエストラインのやや湾曲したカッティングと、内側に折り返すように処理された見返しの設計が、着用時の腰位置を自然に高く見せてくれるため、全体のバランスを引き上げてくれるのも大きな魅力です。

モードの芯を日常の中に引き寄せたい方や、華美ではなく造形で魅せる構築的なスカートをお探しの方にこそ手に取っていただきたい、削ぎ落とされた美しさの中に静かな詩情を湛えたY’sらしい逸品となっております。

日常に落とし込むのであれば、同じくブラックで統一したタートルネックニットや、テーラードジャケットを合わせることで、静けさの中に知性と余白を宿したスタイリングが完成しますし、ボディラインに寄りすぎない長袖シャツや、シルクやレーヨン混の質感あるブラウスと合わせても、あくまでストイックさを失わない柔らかな対話をお楽しみ頂けますね。

是非この機会に。