-SPECIAL- "GUCCI" 1998's-01's Tom Ford period beautiful faded suede long coat

「最上の伝統を最上の品質で、過去のよいものを現代に反映させる商品作り」 というコンセプトを掲げるGUCCIより、スペシャルな逸品をご紹介致します。

トム・フォード期グッチならではの色気を静かに湛ええいるこちらの逸品。

1990年代後半〜2000年代前半頃のタグや全体の佇まいから、まさにトム・フォードがグッチを「都会的でセンシュアルなラグジュアリー」へと大きく舵を切っていた時期の空気を映した一着と言えますね。

深く落ちるVゾーンと鋭くも厚みのあるラペルが顔周りをすっきりと縁取り、胸元から裾にかけてストンと落ちるロングシルエットが、余計な装飾を削ぎ落としながらも身体を包み込むような包容力を感じさせるデザインになっております。

外側はきめ細かなスエードレザーで構成されており、マットな表情の中にわずかな起毛と陰影が生まれることで、光の当たり方によって黒の階調が豊かに変化して見えるのが印象的で、トム・フォード期らしい「艶を抑えた官能性」がしっかりと表現されていると言えますね。

肩には強いパッドを入れず、ほんのりと落ちるラインに整えることで、レザーコートにありがちな重さを和らげながら、着る人の体型に自然に沿う柔らかなフォルムを生み出しており、袖にかけてのカーブも滑らかで、動いたときにレザーが大げさにバタつかず静かに揺れるよう計算された設計になっています。

フロントはミニマルな三つボタンの比率でまとめ、腰位置で切り替えられた大ぶりのフラップポケットを配することで、収納力と視覚的な安定感を両立させている点も魅力で、バックスタイルに走るヨーク切り替えとセンターベントのラインが、ロング丈でありながら重心の低さを感じさせないバランスに整えていると言えます。

内側には滑らかなライニングを用いることで着脱をスムーズにし、ニットやジャケットの上から羽織ってもストレスなくレイヤード出来るよう配慮されており、冬の本命アウターとして長時間着用しても疲れにくい構造になっている点も、当時のグッチのテーラリングの丁寧さを感じていただけますね。

トム・フォードが在籍していた時代のレディース／メンズを問わないレザーコレクションは、現在コレクターズピースとして評価が高まっており、なかでもこのような装飾を抑えたロングコートは、トレンドに左右されず長くワードローブの軸になってくれる存在と言えます。ブランドロゴを前面に押し出すのではなく、シルエットと素材の説得力で魅せるデザインだからこそ、現代のミニマルなワードローブにもすっと溶け込みつつ、さりげなく「トム・フォード期グッチを知っている人」の感度を語ってくれる逸品になっています。

スタイリングとしては、シンプルなニットやシャツに細身のスラックスを合わせてロングコートのラインを主役にした着こなしや、ハイゲージのトップスとストレートシルエットのパンツにさらりと肩掛けして、レザーの質感で全体を引き締めるコーディネートもおすすめで、足元はレザーシューズやブーツを選ぶことで、より一層このコートの持つ静かな迫力を引き立てていただけると言えますね。

トム・フォード期グッチのアーカイブを、日常のコーディネートの中で自然に楽しんでいただける贅沢な逸品となっております。

是非この機会に。