-SPECIAL- "LOEWE" 90's-10's Fur collar cordero lambskin long coat

一部シミあり

皮革工房として誕生し、そのモダンなデザインと洗練された製造工程へのアプローチを得意とするLOEWEより、スペシャルな逸品をご紹介致します。

スペイン老舗メゾン、ロエベが手掛けたフルスキンのムートンコートであるこちらの逸品。

タグに記されたMANUFACTURAS LOEWE表記や、スペイン製のコルデロ（ラムスキン）を用いた仕立てからも、クラシックなロエベのものづくりを色濃く感じさせる、上質な逸品。

高重量のムートンにのみ許されるメタルプレート付きのボタン裏仕様や、袖口と前立てをぐるりと包み込むように仕上げたパイピング巻き縫い、さらに内側のムートンの毛足が驚くほど均一で、光の流れさえ揃って見えるような選別グレードの高さなどから、こちらの逸品は1970〜80年代の牧歌的なムートンコートというよりも、1990年代後半〜2010年代初頭にかけての、ロエベがラグジュアリーアウターとしてムートンを再定義していった時期のプロダクトに位置付けられると言えますね。

ポケットも生地に単純な切り込みを入れただけの古い構造ではなく、独立した袋布と細かなステッチで丁寧に組み上げられた「ジャケット工房」的なつくりになっている為、見た目のシャープさと実用性の両方を満たす現代的な設計思想がはっきり感じられます。重さを受け止めるボタン裏の金属プレートや、摩耗しやすいエッジを包み込むパイピングは、長年の着用を前提としたプロフェッショナルな補強であり、ムートン特有の豊かなボリュームを楽しみながら、日常のワードローブに安心して取り入れられる機能性を備えた一着であると言えますね。

こうしたディテールが積み重なることで、スペインの老舗レザーメゾンとしての伝統と、2000年代以降の洗練されたラグジュアリー基準が一つのコートの中で自然に同居しており、単なるヴィンテージではなく「現代の生活にそのまま持ち込めるアーカイブムートン」としての付加価値がしっかりと宿った特別な存在になっていると言えます。

首元をやさしく包み込む幅広のファーカラーは、毛足を整えた滑らかなタッチが特徴で、顔まわりに自然な陰影と温もりを添えるデザインとなっております。表側はきめ細かなスエード面を生かしたライトベージュのレザーで、マットで静かな発色が大人らしく、光の当たり方によって柔らかく表情を変える仕上がりとなっております。

フロントは比翼を用いず、あえてボタンを見せるシンプルなシングルブレストで構成されており、黒のボタンが生地とのコントラストを生み、全体をきりっと引き締めてくれるバランスが秀逸と言えます。

腰位置に配された大ぶりのフラップポケットは、手を差し入れた際に自然と収まりの良いサイズ感に設計されており、日常使いに十分な収納力を備えながらも、ミニマルな見た目を損なわないよう縫い代やステッチのラインを極力抑えたデザインで仕上げられております。

内側は余すところなく柔らかなファーで覆われており、上質なラムの起毛が空気をしっかり含むことで、高い保温性と包み込まれるような着心地を実現している点も、大きな魅力と言えます。

肩線はわずかに落ちるナチュラルショルダーで設計されており、過度に構築的になりすぎず、身体のラインに沿ってすとんと落ちるロング丈のシルエットが、クラシックでありながら現代のワードローブにも馴染む佇まいとなっておりますね。背面は切り替えを最小限に抑えたプレーンな構成で、上質なレザーの面積を贅沢に楽しめる、ロエベならではのレザーコートの醍醐味を堪能していただけます。

スタイリングとしては、ほどよく厚みのあるニットやシャツの上からさらりと羽織り、ウールトラウザーズや落ち感のきれいなスラックスと合わせることで、性別を問わずエレガントな冬のスタイルを楽しんでいただけるコートと言えます。あるいは、細身のデニムやレザーパンツに合わせて、足元をレザーシューズやブーツでまとめることで、モードなムードを保ちながらも日常に馴染むバランスの良い着こなしが完成しますね。

スペインを代表するレザーメゾンが培ってきたクラフツマンシップと、現代のワードローブに通じるミニマルなデザインが見事に融合した、冬の主役アウターとしてふさわしい贅沢になっております。

是非この機会に。