"HERMES" 80's-90's Minimalist design cotton knit

パリのマドレーヌ寺院界隈で馬具工房から始まり、「職人技の伝承」「移動・旅行のよろこび」を

コンセプトとしたHERMESより、歴史の深みを感じて頂ける逸品をご紹介致します。

程よく目の詰まったコットンニットならではのハリ感と、スコットランド製エルメスらしい端正な編み地の美しさが、静かな存在感を放っているこちらの逸品。

1980年代〜1990年代初頭にかけて生産された一枚であるこちらは、当時エルメスがニットの聖地であるスコットランドの老舗ファクトリーと組み、プレタポルテラインの品質を一段と高めていた時期のプロダクトで、100％コットンでありながらウールに負けないほどのコシと弾力を備えた編み地が、現行品とは一線を画すクオリティを感じさせますね。首元にはクラシカルなタグが収まり、主張のないクルーネックのラインとともに、ロゴをあえて前面に押し出さない“クワイエット・ラグジュアリー”の思想が端的に表現されていると言えます。

デザインは極めてミニマルで、前身頃に余計な切り替えや装飾を設けず、肩から袖にかけてなだらかにつながるラインが、着る人の体型を選ばず自然な落ち感を生み出してくれる構造になっている為、ニットそのものの輪郭が美しく際立っています。ネックライン・袖口・裾にはしっかりと目を詰めたリブが配されており、このリブが程よく身体を受け止めることで、裾まわりにさりげないブラウジングが生まれ、シンプルな一枚着であってもどこか立体感のあるシルエットに見える点も魅力と言えますね。

糸は均一で滑らかな表情を保ちながらも、指でつまむとしっかりとした厚みと復元力を感じる質感で、着用を重ねても型崩れしにくいタフさがあり、コットンニットでありながら秋口から春先まで長いシーズンで活躍してくれる汎用性を備えています。肌あたりも非常に柔らかく、素肌の上から纏ってもごわつきが出にくい為、シャツやインナーに重ねたレイヤードでも、アウターの中で一枚着としても快適にお楽しみいただけます。

スタイリングとしては、テーラード寄りのスラックスや端正なスカートに合わせていただくと、ニットの持つ静かな品格が際立ち、性別を問わず凛としたムードを演出できますし、シャツの上から重ねて襟元だけ覗かせる着こなしや、ロングコートのインナーとして質感の違いを楽しむスタイルも、今の空気感に合ったエレガントなバランスに仕上がると言えますね。

是非この機会に。