"LOEWE" Three-dimensional pattern design wide slacks

皮革工房として誕生し、そのモダンなデザインと洗練された製造工程へのアプローチを得意とするLOEWEより、コンセプチュアルな逸品をご紹介致します。

端正なツイルの面にわずかな陰影が宿り、立体的な切り替えと実用性のあるディテールがモードの気配をつくる、こちらの逸品。

ウエストはすっきりと収まり、前身頃には重なりを持たせた比翼フロントを採用することで、中心線が滑らかに繋がり、視線が縦に流れるため脚がまっすぐ見えますね。

ポケットは手入れのしやすいスラント形状で、サイドには大きめのパッチポケットを一つ配し、角を抑えたカッティングがミニマルな印象を保ちながら収納力を確保しており、ポケット上の小さなレザータブがLOEWEのレザークラフトの文脈を静かに示す設計と言えます。

腿から膝にかけての切り替えは余計なふくらみを抑えてラインを整える役割を果たし、裾へ向けて緩やかに絞られるテーパードが、ボリュームのあるトップスとも細身のトップスとも自然に釣り合うバランスを生み出しています。生地は目の詰まったツイルで、ハリがありつつ落ち感もあるため、歩いた時のドレープがきれいに出て、長時間の着用でも膝が出にくいのが嬉しいところです。

LOEWEらしい“実用をデザインへ翻訳する”姿勢が全体に行き渡っており、ユーティリティの要素を巧みに整え直すことで、ワークの雰囲気を上品に昇華している点が付加価値だと考えます。また、ベルトループの位置や前立ての重なり方によってタックインした際の腰回りが端正に見え、トップスをアウトにした時はサイドのポケットワークがさりげないアクセントとなり、日常の装いをモードに引き上げられる汎用性の高さも魅力ですね。

MOODとしては、服装規定のある環境からオフの時間まで一本で繋げたい方におすすめで、直線と曲線のバランスが良いこのパターンは性別を問わず体型を選びにくく、クローゼットの軸として頼れる存在と言えます。

スタイリングとしては、滑らかなニットをタックインし、プレーンなレザーベルトとジップブーツでラインの美しさを際立たせる組み合わせで、腰回りの設計がすっきり映えます。また、比翼シャツを素直に合わせてジャケットはボックスシルエットを羽織ると、ポケットの配置が“面の切り替え”として活き、現代的なクラシックに仕上がります。

是非この機会に。