"Maison Martin Margiela" There is more action to be done to fight AIDS T-shirt

神秘さとエレガンスを融合させた独自のスタイルを提起し、1988年に設立して以来、老若男女問わず愛され続けているブランド、

Maison Martin Margielaより、ブランドの意思や強さを感じさせる逸品をご紹介致します。

1994年の発表以来、Maison Margielaの歴史の中でも特異な存在感を放ち続け、アーカイブ市場でも長らく高い評価を受けるAIDS Tシャツデザインを誇るこちらの逸品。

ホワイトボディの首元からさりげなく覗くメッセージ——“THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T-SHIRT” は、服をまとうという行為に批評性を宿らせながら、ファッションという言語を用いて社会的メッセージを静かに、けれど力強く突きつけるマルジェラらしいアプローチの一つであると言えます。そのメッセージは、敢えて首周りに配されることで、着用者の存在を通して、読む者に向けた問いとして機能しており、装う行為そのものに思考を差し挟むこの構造は、他のどのTシャツにもない知的な緊張感を孕んでいます。

生地は柔らかく洗いのかかったコットンで仕立てられており、身体のラインに優しく沿いながらも、程よい空気を纏うシルエットにより、タイトでもルーズでもない絶妙な佇まいを実現しています。また、首元のリブにはやや深めのカットが施されており、肌に触れるラインを柔らげながら、どこか無防備さを感じさせるディテールが光りますね。

そして何より、タグ裏に手書きで一枚一枚ナンバリングされた個体識別の記載は、AIDS Tシャツならではの特徴であり、メゾンがこのTシャツを一過性のプリントアイテムとしてではなく、記憶と思想を纏ったプロジェクトとして位置づけていることの証でもあります。量産ではなく”記録”としての一着。それゆえに、現在では貴重なヴィンテージピースとしてコレクターやファッション愛好者の間で高い評価を受けていることも頷けます。

静けさの中に強さを秘め、日常という舞台に知的な挑発を滑り込ませることができる、現代のワードローブにおいて非常に稀有な存在と言えるこちらの逸品となっております。

スタイリングとしては、ウール素材のスラックスや、マットな質感のスカートなどと合わせることで、Tシャツでありながらも凛とした空気を纏うモードな佇まいに仕上がります。インナーとしてジャケットの下からメッセージをさりげなく覗かせたり、逆に一枚で着用し、その言葉に自らの思想を重ねるような装いも素敵です。マルジェラらしさを表層のデザインだけでなく、思想の層として受け止めたい方にこそ、おすすめしたい一着ですね。

是非この機会に。