"GUCCI" Tom Ford period round neck flying squirrel long coat

「最上の伝統を最上の品質で、過去のよいものを現代に反映させる商品作り」 というコンセプトを掲げるGUCCIより、スペシャルな逸品をご紹介致します。

起毛感のあるブラックウールをすっと縦に落ちる筒状のシルエットにまとめ、前立てを見せないミニマルな面で気品を引き出す、トム・フォード期のラウンドネックコートであるこちらの逸品。

肩先にはわずかなギャザーを寄せて上部に柔らかな丸みをつくり、袖は肘下にかけてストンと落ちるため、動くたびにゆるやかな陰影が生まれますね。前は比翼仕立てのボタンでフロントがフラットに整い、腰位置にはふっくらと弾力のあるポケットを二重に重ねたような立体ディテールが配され、直線的な身頃との対比でフォルムに奥行きが出る設計と言えます。

内側は総裏で、GGパターンのジャカードが滑らかに光を受け、首元にはゴールドトーンの小さなチェーンハンガーが付くため、着脱の所作まで上質に見えるところもうれしいですね。

1994〜2004年のトム・フォード期は、装飾をそぎ落として素材感とラインで色気を立ち上げる“官能的ミニマル”が核で、黒の面を強く、金具は内側でさりげなく効かせるバランスが特徴です。このコートもその思想をまっすぐ体現しており、ロゴを前面に出さずに比翼で静けさを保ち、肩の丸みとポケットのボリュームで女性らしさを添える構成は、当時のグッチの空気を今に伝える付加価値だと言えますね。

厚手のニットを重ねてももたつきにくい身幅と、前を開けた時の縦ラインの美しさが両立しているので、オンにもオフにも自然に馴染みます。

スタイリングとしては、まず、チャコールのシルククルーネックとグラファイトのバイアススカートを合わせ、足元はスクエアトゥのヒールブーツで受けると、面の艶と直線が響き合い、コートの比翼がいっそうクリーンに映えます。次に、白のスタンドカラーブラウスをタックインしたハイウエストのウールテーパードトラウザーに重ね、ベルトは細身の黒レザー、靴はポインテッドのミッドヒールでまとめると、肩の丸みとポケットの立体感が都会的に引き立つと言えますね。もう一案として、黒のニットワンピースにロングレザーグローブを添え、足元はメリージェーンのストラップヒールでクラシックに寄せると、トム・フォード期らしい静かな色気がさらりと香ります。

是非この機会に。