"CELINE" 90's-00's Macadam print pajama set up

ベーシックかつ洗練されたデザイン性、高品質なレザー使いが高く評価され、近年ではジェンダーレスに支持され、今なおファンを増やし続けているCELINEより、当時の空気感を体現した逸品をご紹介致します。

1990年代後半〜2000年代初頭の日本におけるライセンス期に、CELINEが「眠りの時間さえもエレガントに」という美意識をホームウェアで体現したこちらの逸品。

全体は清潔感のあるオフホワイトトーンでまとめられており、トップスにはオープンカラーのラペルが配され、端には繊細なパイピングが一筆書きのように走ることで、やわらかなパジャマの表情にさりげない緊張感を添えています。フロントはシンプルなボタン留めで、腰位置にはスクエア型のパッチポケットが2つ配されていて、リラックスしたデザインの中に、当時のCELINEらしい端正な直線の取り方を感じられますね。

生地は一見プレーンなホワイトに見えますが、近づくと全体にCELINEを象徴するマカダムモチーフがジャカード織りで密やかに浮かび上がる構成で、プリントでは表現できない奥行きのある陰影が、照明や自然光を受けたときに上品な立体感を生み出していると言えます。肌に触れた際にはふっくらとしたタッチが心地よく、当時の日本製ライセンス品ならではの丁寧な生地選びと品質管理の高さが伝わる仕上がりです。

パンツはウエストにぐるりとゴムが入ったイージー仕様で、腰回りには安心感のあるゆとりがありながら、ストンと落ちるストレートシルエットによって全身のラインがまっすぐに整います。裾にはトップスと呼応するパイピングが施されており、ルームウェアでありながら「セットアップとして見たときの完成度」まできちんとデザインされている点に、この時代のCELINEホームウェアの美学が表れていると言えますね。

当時の日本では、寝具やパジャマに至るまでハイブランドのライセンス品で揃えることがひとつのステータスで、誰かに見せるためではなく、自分だけが知っているささやかな贅沢として楽しむ文化がありました。このマカダムパジャマも、光の加減でようやくCELINEだと分かる控えめな総柄と、身体をやさしく包み込む柔らかな生地感によって、まさに「自分のために良いものを選ぶ喜び」を静かに受け止めてくれるセットアップと言えます。

現在の視点で捉えると、トップスをパジャマシャツとしてだけでなく、シャツジャケット感覚で外出着に取り入れる楽しみも広がります。ルームウェア由来のほどよい抜け感を保ちながらも、マカダムジャカードとパイピングの効果でだらしなく見えにくく、ホームウェアとデイリーウェアの境界を軽やかに行き来できる一着として、今の気分にも心地よく馴染みますね。

スタイリングとしては、トップスを単体で用い、滑らかな質感のニットやシャツをインナーに入れ、ウールトラウザーやセンタープレス入りのパンツを合わせることで、パジャマ由来のリラックス感を生かしつつ、都会的でジェンダーレスなニュアンスに整えるのがおすすめです。また、セットアップでさらりと着用し、足元をレザーシューズで引き締めれば、上質なホテルラウンジのドレスコードにも通じるような、大人の余裕を感じさせるリラックススタイルが完成します。

是非この機会に。