"CHANEL" 96's Spring collection tuck pleats shirt

数々の斬新なデザインで女性たちの服と価値観や生き方までも変化をもたらし、創業から100年以上経った今でも女性たちの憧れの位置付けにあるCHANELより、仕立ての美しい逸品をご紹介致します。

胸元に端正なタキシードプリーツを配した、

こちらの逸品。

90年代半ばのシャネルが得意とした、メンズフォーマルの要素を軽やかなデイリーウェアへと落とし込むアプローチが、非常にわかりやすい形で表現された一枚と言えますね。

フロントには、ラウンドしたカッティングの比翼状パネルの上に細かなプリーツを等間隔で走らせており、胸元にだけさりげない立体感と陰影が生まれる構造になっております。プリーツの分量はあくまで控えめで、過度な装飾にならないよう計算されている為、フォーマルシャツのような緊張感を保ちながらも、日常に取り入れやすい空気感に仕上がっている点が魅力と言えますね。

襟はやや長さのあるシャープなポインテッドカラーで、首元をすっきりと見せつつ、ジャケットから覗いた時にもきちんと存在感を放つバランスです。

袖口には深めに取られたカフスが付き、ボタンホールを二つ並べて配している為、シングルカフスとしてもカフリンクスを合わせたダブルカフス風の表情としても楽しめる仕様になっております。ボタンには「CHANEL BOUTIQUE」のロゴが刻まれた上質なシェルボタンが用いられており、光の加減でさりげなく虹色の艶が浮かび上がることで、白いシャツ全体に静かな華やぎを添えているのもポイントです。

身頃は過度にウエストを絞らず、ストレートに落ちるシルエットで設計されており、身体からほんの少し離れて生地が落ちることで、動くたびに裾が柔らかく揺れ、エレガントな余裕を感じさせる佇まいになっています。

素材には、ほどよいハリとしなやかさを兼ね備えたコットンポプリンが採用されており、プリーツ部分はそのハリによって立体感を保ちつつ、身頃全体は着用を重ねるごとに身体になじんでいくような、長く付き合いたくなる質感と言えますね。

1996年スプリングコレクションという時代背景を踏まえると、ミニマルでクリーンなムードの中に、シャネルらしいクラシカルな要素を再構築していた時期であり、このシャツも「男性的な礼装」を起点にしながら、性別にとらわれない現代的なシャツとして完成させていることが大きな付加価値だと言えます。

スタイリングとしては、テーラードジャケットやシンプルなスラックスと組み合わせて、あえてタイやネクタイの類を合わせず、胸元のプリーツそのものを装飾として見せる様なコーディネートがよく合いますし、ロングスカートや落ち感のあるワイドパンツにタックインして、シャツを主役にしたモノトーンスタイルに仕上げるのも素敵です。ボタンを少し開けて袖を無造作に折り返せば、フォーマルなディテールを持ちながら、日常の空気に自然となじむリラックスしたシャツスタイルとして楽しんでいただけますね。

是非この機会に。