"KENZO" Botanical ivy bouquet brooch

色彩とプリントの革命児として、パリのモードに独自の詩情を持ち込んできたKENZOより、自然の造形美をそのままジュエリーへ昇華した、植物モチーフの逸品をご紹介致します。

葉の重なりが生む立体感と、金属ならではの光の揺らぎが魅力となっているこちらの逸品。

まず目を惹くのは、アイビーを思わせる葉が束ねられたブーケ状の構成で、単なるリーフモチーフに留まらず、茎を金線で巻き上げるようにまとめた設計が、装飾としての華やかさとオブジェとしての緊張感を同時に成立させていますね。

葉脈は浅く彫りを入れることで陰影が自然に立ち上がり、表面にはわずかなテクスチャーを残している為、角度によって控えめに表情が変化し、ゴールドカラーでありながら過度に派手へ寄らない品の良さが感じられます。

裏面を見るとピンブローチ仕様で、金具の可動も素直ですし、プレート部分にはKENZOの刻印が入っている為、ブランドピースとしての信頼性もきちんと確保されています。

さらに、葉のサイズを揃えすぎず、わずかに高さと向きをずらして重ねていることが、着用時に平面的にならず、胸元に小さな彫刻を添えるような奥行きを生むポイントと言えますね。

このデザインならではの付加価値として、KENZOが得意としてきた自然への眼差しを、プリントではなく金属造形で表現している点が非常に魅力で、花束のようにまとめながらも、茎を巻き上げた線の動きによってモードの緊張感が残る為、甘さへ傾かず凛とした印象で取り入れられます。

胸元に一点置くだけで装いの完成度が上がるのに、主張はあくまで静かなので、スタイルの邪魔をせず、自分の美意識として馴染ませられる逸品となっております。

スタイリングとしては、テーラードジャケットのラペルに添えて輪郭を引き締める合わせ方が特に美しく、ロングコートの胸元に留めれば素材の面に陰影が生まれて奥行きが出ますし、ミニマルなシャツや端正なドレスの上に合わせることで、装飾を一点に集約したジェンダーレスなエレガンスとして成立しますね。

是非この機会に。