"HERMES" Chaine d'Ancre motif buckle leather belt

馬具工房としての出自を現在のラグジュアリーへ昇華し、革と金具と構造を同じ熱量で磨き続けてきたHERMESより、アイコニックな逸品をご紹介致します。

シェーヌダンクル風の楕円バックルによって、ジュエリーのような煌めきをウエスト部分にもたらして頂けるこちらの逸品。

まず目を奪うのは、錨の鎖を想起させるシェーヌダンクルモチーフを、そのまま「留め具」ではなく「意匠」として成立させたバックル設計で、楕円フレームの内側に通されたバーが造形を引き締める為、控えめながら視線の重心が自然に整いますね。上部バーの“HERMES”刻印はセリフ体で、レーザーの浅さではなく打刻由来の深い彫りとして残っている為、アーカイブ品らしい金属の重みと手仕事の気配がしっかり伝わる仕上がりと言えます。

ベルト本体は、表面にガラスのような硬質な艶を湛えつつ細かな横波の表情を見せる為、90年代の“ボックスカーフ”らしい質感と相性が良く、裏面は細かな型押しが入ったレザーで受け止める構成となり、当時の定番的な素材組み合わせとして説得力を補強しています。

ボックスカーフは密度の高い原皮と仕上げの積み重ねで、使うほどに艶が“表面の光”から“奥行きの光”へ移っていく為、同じ黒のレザーでも、時間と所作が質感を育ててくれますね。

そこへアーカイブ品らしい厚みのあるゴールドプレーテッドが合わさることで、派手さではなく、静かな華やぎとして腰回りを締める役割を担い、ジュエリーを一点足すような感覚でスタイルを完成させられるのが魅力と言えます。

ディテール面でも、バックルに対してベルト幅を端正に合わせ、コバやステッチを過不足なく揃えることで、金具の曲線とレザーの直線がぶつからずに繋がるバランスが秀逸で、留めた瞬間の“収まりの良さ”が着用者の所作まで整えてくれます。

スタイリングとしては、端正なシャツやミニマルなカットソーに、落ち感のあるスラックスや品の良いスカートを合わせ、ウエストを軽く意識するだけで十分に成立しますし、構築的なコートやジャケットの上からベルトを効かせて、HERMÈSの馬具由来の実用美を現代的に引用する着方もおすすめです。

是非この機会に。