"Salvatore Ferragamo" 90's Animal motif studs design leather bag

重厚感のあるスムースレザーと印象的なゴールドメタルが織りなす、端正でクラシカルなボストンシルエットが目を惹くこちらの逸品。

ふっくらと丸みを帯びたトップからストンと落ちる縦のラインが美しく、ハンドルは手に収まりの良い細身の二本手で構成されていて、持ち上げた瞬間にレザーの程よい厚みとコシを感じられる設計と言えます。フロントには直線的なカッティングで構成されたフラップポケットが配され、その中央で輝くロック金具にはブランドロゴが刻まれており、下部にはライオンを思わせるアニマルモチーフの立体的なメダルがあしらわれていて、90年代初頭のイタリアン・モードらしい力強さと気品が同時に漂っていますね。

ボディの下部には、同じアニマルモチーフを用いたラウンドスタッズが等間隔に並び、実用的な底鋲としての役割を担いながら、バッグ全体の表情をジュエリーのように華やかに引き締めています。

バッグをテーブルに置いたときに、さりげなく底面のゴールドが覗くことで所作そのものが美しく見える構造になっており、「見えない部分にこそ贅沢を忍ばせる」という当時のフェラガモの美意識が感じられるディテールと言えます。口元はラウンドした上部に沿ってファスナーで大きく開く仕様で、内側にはブランドロゴとアイコンが織り込まれた総柄ライニングが施されており、複数の仕切りやポケットが配されている為、書類やタブレット、日常のこまごまとした荷物をきちんと整理しながら収納出来る実用性も魅力ですね。

外装のレザーはしっかりと厚みのあるカーフを用いていて、表面はミニマルなシボ感に抑えられたスムースな質感で、光を受けるとわずかに艶が立ち上がり、金具の深いゴールドと相まって凛とした存在感を放ちます。トップ付近にはマットな質感の切り替えがさりげなく入り、同じ黒の中で質感のコントラストをつけることで、単色でありながら奥行きのある表情を生み出している点も、この個体ならではの付加価値と言えます。

全体として過度なロゴに頼ることなく、シルエットとレザー、そして彫刻のような金具の力だけで「良いバッグである」ことを語るデザインで、1990年代初頭のフェラガモが持っていた職人技と装飾性のバランスの良さをしっかりと感じていただけますね。

スタイリングとしては、テーラードジャケットに細身のスラックスを合わせ、手元にこのバッグを添えるだけで、性別を問わず端正で知的な印象に仕上がりますし、さらりとしたニットドレスやロングコートに合わせれば、日常の移動時間さえもどこか旅情を帯びたエレガントなムードに変えてくれると思います。休日前には、シンプルなシャツと上質なトラウザーというミニマルな装いに合わせていただくことで、スタイリング全体の重心をこのバッグの金具とレザーの艶に委ねるような、静かで強いコーディネートを楽しんでいただけますね。

是非この機会に。