"COMME des GARCONS" 18AW layered mesh design fringe thick knit

「反骨精神」と「見たことないもの」をコンセプトとし、ドレスやジャケットの再構築、立体的なカットワークなどを得意とするファッションの固定観念をくつがえすデザインを数多く発表している

COMME des GARCONSより、ブランドの姿勢を体現する逸品をご紹介致します。

純白の編地に異素材の陰影をひそませ、肩線から脇、裾、袖口までを縁取るフリンジとメッシュの重なりが身体と衣服の境界をやわらかく撹拌する、こちらの逸品。

2018AW期に顕著だった“内と外の転倒”という実験性を、過剰な装飾へ向かわず構築と繊細さの往復で言語化しており、ベースは滑らかなハイゲージのクルーネックで、そこに透明感のあるブレードコードと毛足の長いループヤーンを走らせることで縫い目を意図的に可視化し、完成と未完成のあわいに漂うような造形をつくっていますね。

袖口と裾からは光を含むメッシュ編みがわずかにのぞき、重ね着を思わせる視覚効果を一枚の中に封じ込めており、動作に合わせてフリンジが微細に揺れることで白の階調が生まれ、モードの静けさと立体感が同居する表情と言えます。

肩から脇へ連続する立体テープは装飾で終わらずラインをすっきりと引き上げる役割を担っており、身頃は過度にタイトではないのに輪郭が曖昧にならないため、白のニットにありがちな膨張感を抑えながら、光沢の差と素材の段差で奥行きを与えてくれます。

ニット一枚でレイヤードの豊かさを完結できる設計はガルソンらしい合理性で、季節のアウターの下でも存在感を失わず、室内ではトップス一枚で装いの主題になるため、ワードローブの回転率が自然と高まる価値が宿っていますね。

さらに、フリンジの毛足とメッシュの透けが白の中に異なる“白”を重ねるという造形的な美しさを生み、色数を用いずに表現幅を広げられる点はアーカイブとしても今の装いとしても強い付加価値と言えます。トレンドの強弱に左右されにくい抽象度の高いデザインで、感度の高い場でも日常でも品よく機能するため、静かに個性を語りたい方へまさに適した一枚と言えますね。

スタイリングとしては、しなやかな落ち感のあるウールトラウザーズとミニマルなレザーベルトを添えることでフリンジの起伏を際立たせつつ、足元は細身のロングブーツで縦の線を伸ばし、ジェンダーを超えて端正で強い印象へと昇華させるのが素敵ですね。

是非この機会に。