-SPECIAL- "Max Mara" 90’s Detachable fur collar virgin wool long coat

1951年にイタリアで創業したMax Maraは、端正なテーラリングと実用性を両立させたコート作りで評価を築き、過度な装飾に頼らず素材と構築でラグジュアリーを語る美学を貫いてきたメゾンです。特に白タグのファーストラインは、都市の冬に必要な品格と機能を静かに備えた名品が揃い、長く愛用できる完成度の高さが魅力と言えます。今回は重厚なウールの質感と襟元の存在感が際立つ、端正な冬の逸品をご紹介致します。

深い黒のボディに、豊かなブラウンファーを大きくあしらった襟元が印象的であるこちらの逸品。

表面は密度の高い起毛感が光を穏やかに吸い込み、ロング丈の縦ラインがすっと落ちる事で全身の印象を引き締め、フロントは大ぶりのボタンが静かな重心を作りながら、身頃には立体的な切り替えが走る為シェイプの効いた佇まいへ導き、ポケットはフラップ仕様でクラシックなムードを保ちつつ、内側には筆記体のロゴが織りで現れるライニングが覗く為、袖を通した瞬間に艶のある高揚感まで丁寧に設計されていますね。

深い黒のボディに対して、ブラウンのファーカラーを大きく配したコントラストがまず印象的で、襟はラペルのように鋭く落ちる角度と厚みのある分量によって、顔周りへ陰影と立体感を与える設計と言えますね。その襟元からフロントへ続くVゾーンが縦の流れを強調する為、ロング丈でも重く見えにくく、身頃には縦方向の切り替えが端正に走る事で、過度にタイトにせずともウエストラインが自然に整い、歩いた時のドレープが綺麗に出ます。

フロントのボタンは大ぶりで艶を抑えた表情が選ばれている為、華美に振れずに重心だけを静かに作り、ポケットはフラップ仕様でクラシックな秩序を加えながら、全体は装飾を削ぎ落とした面構成で仕立ての良さを際立たせています。内側には筆記体ロゴが織りで現れるライニングが覗く為、外のミニマルさと内のラグジュアリーが対比し、袖を通した瞬間の高揚感までデザインとして完結していますね。

この個体ならではの価値は、白タグのファーストラインである事に加え、品質表示に100パーセントのLANA VERGINE表記が確認でき、さらにD-TK-367の管理コードが残る点から、当時の流通背景を伴った1990年代レンジの信ぴょう性が確保できる所と言えます。加えてレーヨンとキュプラ混率のライニングにロゴを織りで載せた仕様は、時代の豊かさを内側のディテールへまで注いだ設計で、現行とは異なる重心の置き方が魅力として際立ちます。

日常では、冬の街でコートが主役になる瞬間にこそ美しく、通勤の装いを格上げしたい日にも、夜の会食や観劇のように照明の下で質感が問われる場にも自然に馴染みます。襟元のファーが顔周りへ奥行きを作る為、アクセサリーを足しすぎずとも完成し、静かな黒の分量感が所作まで端正に見せてくれますね。

スタイリングとしては、ミニマルなシャツに端正なスラックスを合わせ、レザーシューズで締めると、素材と構築の良さがまっすぐ伝わります。もう一案として、滑らかな質感のロングドレスやミディ丈のスカートに重ねると、ファーの陰影がモードな余韻を生み、動いた時の佇まいまで絵になりますね。

是非この機会に。