"DOLCE & GABBANA" 00’s-10’s Textured cashmere blend raglan knit

イタリアの官能性と端正さを同じ熱量で磨き上げ、日常の装いに色気を滲ませるスタイルを提案し続けてきたDOLCE & GABBANAより、素材の奥行きで魅せるメランジニットの逸品をご紹介致します。

黒を基調に微細なネップが散りばめられた表情が、静かな華やぎを生み出しているこちらの逸品。

年代の信ぴょう性としては、日本法人名義の代理店表記が入るタグ仕様である点が重要で、2000年代初頭以降に整備されていく国内正規流通の個体として筋が通りますね。加えて、メインライン特有のブランドタグとイタリア製の表記が揃い、近年に見られる管理の電子化要素が前面に出ていない為、2000年代中期から2010年頃という推定レンジに自然に収まる個体と言えます。

素材はウールに対してカシミヤを約三割含む構成となっている為、肉厚でありながら触れた瞬間にしっとりとしたぬめりがあり、温もりがありつつ肌当たりが強くなりにくいのが魅力です。さらに微量のナイロンを混ぜることで編み地の戻りや耐久性にも配慮され、ラグジュアリーな風合いを実用品として成立させているのが嬉しいですね。

編み地は単なる無地ではなく、霜降りのように粒立つネップが全体へ均一に散り、近づいたときに情報量が増える設計の為、シンプルなニットでありながら装いがのっぺり見えません。表面はわずかに起毛したような柔らかい陰影を持ち、光を跳ね返すのではなく吸い込むように見せるので、ドルチェアンドガッバーナが得意とする無骨さと色気のバランスが、テクスチャーだけで表現されています。

肩周りはラグランスリーブの切り替えによって線が硬く出過ぎず、身体の動きに沿って自然に馴染む為、着用時に構築感を押し付けないのに佇まいが整います。ネックは詰まり過ぎないクルーネックで、首元に余白が残る分、アウターの襟やストールとも干渉しにくく、秋冬のレイヤードで幅が出せるのも実用的ですね。

ジャケットほど肩肘張らず、それでも素材と空気感で格を出したい方へ特におすすめで、ラグジュアリーを声高に主張せずに、近くで伝わる質感で差を付けたい日常にちょうど良い一枚と言えます。

スタイリングとしては、スラックスやロングコートと合わせて縦のラインを意識すると、ニットの奥行きがより端正に映えますし、デニムやレザーパンツなど質感の異なるボトムを添えることで、ブランドの背景にある色気と無骨さを現代的に落とし込めますね。足元はブーツやレザーシューズなど品のある選択にすると、ジェンダーレスに締まりが出ます。

是非この機会に。