“KEITA MARUYAMA” Floral appliqué one-button chelsea coat

東洋的な情緒や花々のモチーフを、クチュールライクな仕立てへ落とし込みながら、日常の装いに詩的な華やぎを添えてきたKEITA MARUYAMAより、フラワーアップリケが象徴的な逸品をご紹介致します。

端正なチェスターの輪郭をベースに、襟元へ立体的な花意匠を忍ばせることで、黒の静けさの中に“物語”がふっと立ち上がる設計となっているこちらの逸品。

まず印象を決定づけるのは、ノッチドラペルの片側に大ぶりなリーフ調のアップリケを配し、もう片側には花束のような立体装飾を重ねている点で、左右非対称のバランスが視線を上へ引き上げる為、羽織るだけで顔まわりが凛と整って見えますね。

さらにフロントはワンボタン仕様となり、留めた際に身頃の重なりがミニマルに収束することにより、装飾の華やぎを活かしつつ全体の印象はあくまでクリーンに保たれています。

シルエットはロング丈で、裾へ向かって自然に広がるフレアラインが取られている為、動いた瞬間に生まれる揺れがエレガントに映り、コートという枠を越えてドレスのような余韻まで感じられます。

袖口は折り返しが効いたカフ設計となっており、手元に適度な量感が宿ることで、ロング丈の縦の流れへリズムが生まれ、所作まで柔らかく見せてくれますね。

腰位置にはフラップ付きのポケットが配され、実用性を確保しながらも面を間延びさせない配置となっているからこそ、甘さではなく“構造の美しさ”としてまとまる点も上質と言えます。

また裏側には明るいトーンの裏地が覗く仕様となり、黒の表面に対して内側で軽さを作っている為、着脱の所作まで端正に見え、季節の重ね着の中でも気負わず取り入れやすいのが嬉しいですね。

ロゴや強い装飾で主張するのではなく、花意匠を“襟元の余白”に置くことで静かな個性へ昇華しているので、普段の装いを崩さずに、ほんの少しだけ気分を変えたい日にこそ頼れる存在になってくれます。

スタイリングとしては、シャツやミニマルなトップスにスラックスを合わせることで、ワンボタンの縦のラインとフレアの揺れが最も端正に引き立ちます。

またシンプルなワンピース、もしくはニットにロングスカートを合わせてさらりと羽織ると、襟元の花意匠が控えめなアクセントとして効き、エレガントとモードを自然に行き来できる印象に仕上がりますね。

是非この機会に。