"allegri" Crossover design 2-way collar wool coat

イタリアのアウター専業ブランドとして、生地選びから仕立てまで、最高級の品質を誇るとされるallegriより、ブランドの核を担う逸品をご紹介致します。

立体的な衿の表情と、身体をゆったり包み込むロングシルエットを備えた、こちらの逸品。

まず目を引くのは、前合わせの設計と衿まわりの構造です。フロントは一般的なステンカラーやチェスター型とは異なり、前身頃が身頃ごと斜めに交差しながら留まる構成で、トップ位置に配されたボタンで首元を高く留めることができます。

この仕様の為、ボタンを掛けると首まわりに自然な立ち上がりが生まれ、顔まわりをきちんと守りながら、マフラーを巻かなくても安心できる包まれ方を感じられると言えますね。

また前を留めた際に余計な縫い割りや切替が表に出ず、面がすっと整うので、コートそのものの存在感が静かに引き立つ点も魅力です。

一方で、前を開けると印象は大きく変わります。衿が大きく返り、深い打ち合わせとともにラペルのように大きな面を描きながら落ちていく為、チェスターコート的な見え方に近づきます。

その為、首元を覆い上げて包み込む着方と、あえて前を開けてラフに流す着方の両方を一枚で楽しめる構造を持っており、気温差やムードに合わせて衿の表情を変えられる点は、量産的なウールコートにはなかなか見られない付加価値と言えます。

肩周りは、いわゆるセットインスリーブ（縫い付けの肩線がはっきり出る形）ではなく、肩線を強く区切らない流れるような袖付けが採用されています。その為、肩に角が立たず、身体のラインに沿って自然に落ちる丸みが出ます。これにより、従来のクラシックなメンズコートのような「肩で語る」硬さではなく、ジェンダーに縛られないしなやかさが生まれ、どの様な体格の方でも落とし込んで頂きやすい仕様になっております。

全体のシルエットはロングレングスで、裾までまっすぐ落ちる直線的な分量感が特徴です。生地が縦方向へストンと落ちる為、動くたびにゆるやかな揺れが現れ、いわゆる“重いコートを着せられている感じ”にならず、むしろ身体を包んで下に向かって流してくれるような感覚を得られると言えます。

素材は、見た目にもわかる柔らかな表面感を持ちながら、しっかりと厚みを感じられる上質なウール系の生地が使われている可能性がありますね。手触りはふくらみがあり、押し返すような弾力を感じさせる為、冬場の実用性に直結する保温性が期待できるだけでなく、屋外での佇まいに深みを与えるところがポイントです。

このような膨らみのある素材を長いレングスで用いつつも、不要な切り替え線を極力見せずにまとめている点は、allegriがもともとコートづくりに特化して培ってきたノウハウの高さを象徴する仕上がりと言えます。

スタイリングとしては、インナーはシャツや滑らかなニットなど、面のきれいなトップスを中に挟んでいただくと、このコートが持つ縦方向の流れがより素直に際立ちます。また、ボトムスはワイドめのスラックスや落ち感のあるパンツと合わせると、肩から裾まで一続きで流れるラインが強調され、ジェンダーを問わずエレガントな長いシルエットを楽しめると言えますね。

是非この機会に。