“COMME des GARÇONS HOMME” 88AW Boxy plaid tailored jacket

「反骨精神」と「見たことないもの」をコンセプトとし、ドレスやジャケットの再構築、立体的なカットワークなどを得意とするファッションの固定観念をくつがえすデザインを数多く発表している

COMME des GARCONS HOMMEより、貴重なアーカイブピースをご紹介致します。

1988年秋冬コレクションに由来する背景を持つ、こちらの逸品。

当時の川久保玲がメンズのディレクションを担っていた時期ならではの、肩線をしっかり立ち上げたボックス寄りのプロポーションが魅力で、袖を通すだけで上半身に“角”が生まれ、姿勢まで凛と見せてくれる設計と言えますね。

表情のあるチェック生地は、近くで見るほど奥行きが増すタイプで、遠目には無地のように沈み、動いた瞬間に格子が浮かぶため、装いを強くし過ぎずに存在感だけを残してくれます。素材はウールを主にナイロンを僅かに混ぜた構成のため、起毛感のある温度を持たせながら、純毛に比べて輪郭が痩せにくく、長い年月を経ても面の美しさが保たれやすいのが価値になっています。

フロントは端正なシングルの2ボタンで、Vゾーンを深く見せるラペルの角度が顔周りをシャープに整理し、身幅のゆとりと相まって“詰めないエレガンス”へ着地している点がこの時代らしさです。

腰のポケットは主張を抑えた玉縁で、装飾よりも線で魅せる思想が貫かれており、袖口に並ぶボタンも控えめな艶に留めることで、素材の陰影と仕立ての立体感が主役になるよう整えられています。裏地は滑りの良い仕様のため、インナーを選ばず羽織りやすく、秋冬のレイヤードでもストレスが出にくいのも嬉しいところですね。

スタイリングとしては、ミニマルなハイネックトップスにセンタープレスのスラックスを合わせ、ジャケットの肩と身幅が作る“箱”のラインをそのまま活かす着方が綺麗ですし、バンドカラーシャツにウールトラウザーを重ね、足元はレザーシューズで締めると、ギャルソンの知性と80年代の空気感が自然に立ち上がります。

是非この機会に。