-SPECIAL- "YVES SAINT LAURENT" 80's-90's Raglan sleeves 100% angora stand collar coat

1962年のブランド創設以来からモードの帝王として親しまれ、今なお多くの人を魅了し続けている

YVES SAINT LAURENTより、スペシャルな逸品をご紹介致します。

深く滑らかな光沢を帯びるアンゴラ100%のヘリンボーン地が、空気を含みながらまっすぐに落ちる縦の線を強調し、静かな豊かさと品格を併せ持つ佇まいをつくるこちらの逸品。

ステンカラーはやや高めに設計され、首元を包み込むように立ち上がる為、顔まわりに陰影が生まれて表情が引き締まり、胸上に寄せた二列のフロントボタンで面の美しさを保ちながら留め方のニュアンスが楽しめますね。

肩線を排したラグランスリーブで、肩から袖にかけての曲線がやわらかく流れ、身体の動きに合わせて生地がしっとりと追従する為、ロングレングスでも重たく見えず、アンゴラ特有の軽さと保温性が高い水準で両立していると言えます。

フロントは装飾を最小限に抑えたミニマルな構成で、手を添えやすい位置の大ぶりなポケットが実用と視覚のバランスを整え、両脇には深めのスリットが配されている為、歩いたときの裾の揺れが美しく、階段や車の乗り降りでもストレスが少ない着心地に仕上がっています。

背面はセンターに通る縫い割りで縦のラインを際立たせ、総裏のライニングには滑らかなキュプラが用いられている為、袖通しが軽く、インナーの生地を選ばずシーズンを跨いで活躍しますね。サイズ表記は〈9AR〉で、国内基準のレディースM相当の設計と捉えられ、面で見せるAラインの落ち感と相まって、構築とやわらかさの均衡が心地よいシルエットと言えます。

タグはブラック地にブルーの縁取りと“Yves Saint Laurent diffusion hommes”のレーベルで、あわせて日本語表記の品質表示・JIS規格サイズが確認できる為、国内ライセンス期のディフュージョンラインに位置づけられる個体（おおよそ1980年代後半〜1990年代前半）と言えます。

メゾンのエスプリを日常へ橋渡しする“diffusion”の文脈に、アンゴラ100%という贅沢な素材設計を重ねた点が特筆で、一般的にウール混が多い中でヘリンボーン織のアンゴラ単一素材をロング丈で成立させている稀少性は、この個体ならではの付加価値として強調できます。

さらに、胸上に集約した二列ボタンと深いサイドスリットの構成が面の静けさを保ちながら可動性を確保する為、クラシックなコートの所作に現代的な機能美が宿っていると言えますね。

MOODとしては、声高な装飾より質感で余韻を語りたい方に強く届き、テーラリングの硬さより“面の美しさ”で凛とした印象を求める装いへ、日常の移動や所作まで含めて自然に落とし込める一着だと考えます。

スタイリングとしては、ミニマルなニットにワイドトラウザーを合わせて縦のドレープを引き出す組み合わせで静かな迫力をつくり、シャツにストレートシルエットのパンツを合わせて面の美しさを前面に出すビジネス寄りの装いへ振るのも良く、ニットドレスやロングスカートの上にさらりと重ねて歩いたときのスリットの動きを主役にする提案も上品にまとまります。

ドレスアップの上からはもちろん、軽やかなジャージーのセットアップに羽織って素材のコントラストで奥行きを出す方法も相性が良い為、エレガント・モード・ジェンダーレスの幅で自在に活躍してくれますね。

アンゴラ100%の稀少性、国内ライセンス期ディフュージョンの文脈、ロング丈×サイドスリットの機能美が一つに結晶した、静かで力強い存在感を纏える逸品となっております。

是非この機会に。