"Saint Laurent Paris" Modern tailcoat design jacket

現代のファッション界において重要な地位を占めており、時代を超えたスタイルと革新を追求し続けているSaint Laurent Parisより、アイコニックな逸品をご紹介致します。

サンローランのタキシード史に通じる端正さを、現代のシャープな感覚で切り取った燕尾シルエットであるこちらの逸品。

フロントは深くえぐったカッタウェイのラインに、控えめな光沢を帯びるサテンのラペルが滑らかに続き、ウエスト位置を自然に引き上げるバランスで二組のくるみボタンを配し、前丈は軽やかに、後ろはスワローテールを思わせる角度で流す設計と言えます。

背面は縦の切り替えで体の丸みを美しく拾い、腰位置に並ぶ飾りボタンがシルエットの起伏を潔く締め、袖口まで統一されたくるみボタンが装い全体の緊張感を保つ構成。上質なスーツ地のしなやかさと適度なハリが共存し、着用すると肩線がまっすぐ立ち上がり、胸元から裾へとつながる面が凛として見える仕立てです。

デザイン性は、伝統的なイブニングの様式を踏まえながら余白を残すミニマルな表現にあります。装飾を削ぎ、ラペルの艶・ボタンの質感・前後差のある裾のコントラストだけで“夜の装い”の緊張感を成立させるのはサンローランならではで、正面からは鋭く、横からは流麗に映る立体設計が、動いたときにいっそう映える一着と言えます。

付加価値としては、まずサンローランのメゾンDNA―“ジャケット一枚で人格を研ぎ澄ます”という哲学―を、日常のワードローブに落とし込める希少な燕尾型で体現している点が挙げられます。舞台衣装的な誇張に寄らず、街で機能するプロポーションに正統の文脈を宿すため、シンプルなインナーでも瞬時にフォーマルの気配をまとえること、そして性別を問わず体の中心を細く見せる視覚効果を持つことは大きな魅力です。

さらに、汎用的なテーラードにはない“後ろ姿の主役感”を備えるため、着用写真やイベントの場で存在感が確実に残る点も価値と言えます。

スタイリングとしては、シンプルなニットと端正なスラックスで構成し、ボタンは留めずに前を開けて裾のラインを見せる装いを。もう一案は、襟付きシャツの第一ボタンを外して軽く抜き、センタープレスのトラウザーや落ち感のあるボトムを合わせ、足元はレザー靴で締めるだけでサンローランらしいエレガントかつモードな着こなしをお楽しみ頂けます。

是非この機会に。