"MAX&Co.” 90's-00's Super long fur collar coat

イタリアンテーラリングの端正さを土台に、都会の日常へ少しだけ遊び心を差し込むバランス感覚で支持されてきたMAX&Co.より、アイコニックな逸品をご紹介致します。

毛足のある襟元のファー調アクセントと、縦に落ちるミニマルな佇まいが印象的なこちらの逸品。

推定年代を1990年代後半〜2000年代中期（1996–2005年頃）とする根拠として、白地に「MAX&Co.」表記、赤文字の“classics”、赤い枠取りというタグ意匠が近年の簡素なロゴタグとは系統が異なる点に加え、ループタグで“made in italy”を明示している点が挙げられますね。現行に近づくほど生産背景はグローバル化しやすく、こうした“イタリア製を前面に出す表現”が残る個体は、比較的早い時期の空気を宿していると言えます。さらに、装飾を抑えたロング丈にファー調の襟でコントラストを付けるバランスは、90年代末〜00年代の都会的なミニマル嗜好とも整合します。

デザインはまず、フロントの主張を極限まで削いだ比翼仕様が肝で、ボタンを隠すことで縦のラインを途切れさせず、着用者の輪郭を静かに引き伸ばす設計です。首元はシャープな折り返しに、ファー調の襟を重ねる二層構造のような見え方になっており、顔周りにだけ柔らかな陰影を足して、ボディの端正さを引き立てていますね。

肩は過度に誇張せず、袖はすっと落ちるストレート寄りの設計で、全体はIラインを軸にしながらも、歩行時に裾がわずかに揺れる余白があり、堅すぎないエレガンスへ着地しています。内側は滑りの良い裏地がしっかりと取られているため、レイヤードを重ねても袖通りが良く、表地の落ち感を崩さずに着続けられるのも実用的な美点です。

素材感は、表面が強い光沢を持たないマットな質感で、起毛を感じる密度の高いウール系生地、もしくはパイル感のある混紡素材を想起させます。触れた瞬間に冷たさが出にくい“空気を抱える系”のタッチで、黒の面で見せるロングコートに必要な立体感を、織りと起毛で静かに支えている印象です。

加えて、襟のファー調パーツが肌に近い位置で保温と触感を補い、視覚的にも「硬質な直線」と「柔らかな毛足」という二つの質感対比を作るため、ミニマルでありながら単調に見えないのが魅力と言えますね。

スタイリングとしては、端正なシャツにウールのスラックスを合わせ、足元はレザーシューズでまとめると、この比翼の静けさとロング丈の直線が最も綺麗に立ち上がります。もう一案として、ミニマルなドレスやロングスカートの上に羽織り、質感のコントラストを主役に据えると、MAX&Co.らしい都会的な品の良さが自然に引き出せます。

是非この機会に。