"LEMAIRE" Shoulder button design long shirt

クリストフ・ルメールとサラ＝リン・トランが手がけ、控えめな色調と滑らかなボリューム、上質素材で“静かなエレガンス”を日常着に落とし込むブランドであるLEMAIREより、コンセプチュアルな逸品をご紹介致します。

微かな艶を含むクリームトーンのコットンがすっと落ち、縦に伸びる前立てのラインが陰影を穏やかに刻むことで、潔いロングレングスの美しさと余白のあるこちらの逸品。

やや大ぶりに設計したシャープな襟が顔まわりを凛と見せ、比翼ではなく細身の前立てをまっすぐ通すことで、長い着丈の中に緊張感のある中心軸を生み、上から下へ視線が流れる構成が端正ですね。

肩線には連続して配したボタンのアクセントが置かれ、実用の着脱性を担いながら、ミリタリーやワークの名残をエレガントに昇華するLEMAIREらしい“機能をデザインに見立てる”視点が感じられます。ボタンはシェル調の穏やかな光沢で、マットな生地表面とのコントラストが控えめなリッチさを添えますね。

身頃はストレートに落ちる輪郭で、脇には裾まで伸びるボタン開閉のスリットを備え、歩く度にニュアンスが生まれる為、前を留めてワンピースライクにまとめても、脇を少し外してパンツレイヤードの動きをつくっても美しく、袖は深めのカフスで手元をきゅっと締めることで全体のバランスが整います。軽やかなコットンポプリンは肌離れが良く、インナーの上に羽織っても、一枚着としても快適で、シーズンを跨いで使える実用性が高いと言えますね。

LEMAIREの優雅な日常服としての付加価値は、ロングシャツというフォーマットに“用途の振れ幅”を与えている点で、肩ボタンやサイドスリットを段階的に操作することで、直線的にも流線的にも表情が変わり、静かな存在感のままスタイルを更新できるところにあります。控えめな色出しはアクセサリーやレザー小物とも馴染みが良く、モードと実用の間にきれいな均衡が保たれていると言えます。

スタイリングとしては、タックの入ったワイドトラウザーに前を留め、脇のボタンを数個だけ外して動きを出すと、縦長シルエットが強調され、ジェンダーレスな端正さの中に余白が生まれます。また、ノーカラーのライトジャケットを上に重ね、シャツの裾を覗かせてレイヤーを楽しむと、静かなモード感が立ち上がり、日常の装いを格上げできます。

是非この機会に。