"GUCCI" Michele period iconic motif embroidered shirt

「最上の伝統を最上の品質で、過去のよいものを現代に反映させる商品作り」 というコンセプトを掲げるGUCCIより、ブランドの矜恃を感じさせる逸品をご紹介致します。

柔らかな白光を湛えた軽量シャツ地に、蛇や星、数字「25」、小さな花片や矢印といった象徴的モチーフを細やかな多色刺繍で点在させ、クリーンなシャツフォルムの中にミケーレ期GUCCI特有の遊び心と知的な毒気をそっと溶け込ませたこちらの逸品。

生地は薄手で滑らかなタッチながら程よいコシを備えているため、身体からわずかに離れて落ちるエアリーなドレープが生まれ、光を受けた際に刺繍糸の色味が微細に揺らめくことで、無地感覚の汎用性と装飾性の二面性を一枚で味わえる構成となっております。襟は端正なレギュラーポイントで、フロントはミニマルな前立てにクリアな光沢を持つボタンが沿っており、カジュアルな刺繍を散らしつつも全体像がだらしなく崩れないバランスが秀逸ですね。

刺繍モチーフに目を向けますと、ミケーレがクリエイティブディレクター期にしばしば引用したガーデン／クリプティック・アイコンの系譜に連なる要素が凝縮されており、蛇は知と変容を象徴し、星は指標や願望の暗喩として機能し、数字「25」は当時のコレクションで繰り返し表出したラッキーナンバー的サインとしてブランド文脈を呼び起こしてくれるため、単なる柄ではなく“読み解ける記号”を纏う愉しさがあると言えます。

また、モチーフの一つ一つが極小スケールで配置されていることで、遠目には穏やかなドット調テクスチャとして視認され、近寄るほど多層的なストーリーが立ち上がる距離感設計も魅力です。

肩線は過度に落ちすぎず、身幅に適度な余裕を持たせた現代的レギュラーフィットに近い設計ですので、タックイン／アウト双方に対応しやすく、ジャケットインナーに差してももたつきにくい使い勝手がありますし、ボタンを開けて軽羽織のように扱えば、刺繍がアクセサリー代わりに機能して装い全体のトーンを柔らかく調整して頂けます。

ミニマルな装いの中にさりげない会話性を忍ばせたい方、ホワイトシャツを“記号の図書館”として着こなしたい方、そしてラグジュアリーをユーザー自身の解釈で引き寄せる姿勢を大切にされる方に強くお勧めできる逸品です。

スタイリングとしては、ハイウエストスラックスに深くタックインし、細ベルトを挟んでシャツの白場と下半身の重心を明確に切り替えると、刺繍の色粒がアクセントとして浮かび上がりますし、フレアスカートと合わせて柔らかいドレープの中に点描を散らす構成も美しく決まります。さらに、モノトーンのロングジャケットを羽織って襟元と袖口だけを覗かせれば、フォーマルの枠を穏やかに拡張するミケーレ的エレガンスが生まれますので、ジェンダーを超えて自由に装いを構築したいMOODらしいワードローブに落とし込んで頂けますね。

是非この機会に。